ジェット サルドニア バッカンテ カメオ ブローチ [34-21-2]

ジェット サルドニア バッカンテ カメオ ブローチ [34-21-2]

商品詳細

アンティーク エバーランド

品 番
 34-21-2
年 代
 19世紀半
生産国
 イギリス
素 材
 ジェット、サルドニア貝
寸 法
 縦:5.9cm、横:4.8cm
ひと言
 
 当カメオは、所謂「典型的なカメオ」の芸術性や美しさといった観点に加え、
 どこか柔軟性というか、実用性を感じます。
 優美な中に、カッコよさ、スタイリッシュさを感じ、いつもカメオを見る度に感
 じる、成熟した女性が、クラシカルな服装で身に着ける物といった固定概
 念を一気に払拭され、幅広い年代の方が、比較的しっかりとした厚みの、
 コットン、リネン、ウールや、デニム生地に迄調和することと思います。
 例えば、ローゲージのざっくり編みニットに、ジーンズとか、圧縮ウールのコ
 ート、モード系のシンプルでスタイリッシュな服にも、しっくり来るだろうという
 事が、このカメオを着けたいワードローブの候補が次々に浮かぶことからも
 伺えます。

 何がそうさせるのだろうかと考えたときに、先ずは、この大ぶり加減が、絶
 妙にかっこいいのだろう、と感じます。
  19世紀半には、この様なナポレオン時代の物と比較し、大きく目立つ物が
 多くなったそうです。

 次に、枠が、ゴールドや、パールや、エナメル等華美な装飾ではなく、対局
 にある漆黒のジェットで神秘的な美しさを放っているからではないか、と考え
 ました。
 前者が、カメオの魅力が拡散する効果が有るとすれば、後者は、カメオの魅
 力を封じ込めるというか、そこに凝縮して留める、そういった雰囲気を感じま
 す。
 延いては、デザイン的に言えば、「締まる」ということになるのでしょう。

 ジェットは、水中で気の遠くなる様な長い年月を経て化石化したジュラ紀の
 樹木ですので、有機質宝石と呼ばれています。     
 非常に軟らかく、軽く、独特のしっとりした質感に、柔らかい光沢を持ってい
 ます。

 さて、主役のカメオですが、流行が盛んとなる18世紀から19世紀初期は、ゼ
 ウスやヘラクレス等英雄的・男性的なモチーフが多く、19世紀中期から後期
 は、ヴィクトリア女王即位の影響と言われるように、ギリシャ神話、妖精等優
 美で女性的なモチーフが好まれた様です。
      
 当カメオの女性は、ワイン造りに欠かさない葡萄の冠を被ったバッカンテ
 (Bacchanthe)と呼ばれる、酒と演劇の神バッカスの巫女が彫られています。
 19世紀に大流行したモチーフだそうです。

 貝が充分に育っているため、厚味があり、立体的で、葡萄の葉や実、髪等の
 細やかな彫りまで弾むように美しく表現出来ております。
 顔立ちも、ギリシャ神話の世界から抜け出た様な、異国情緒溢れ、品の有る
 もので、鼻先や唇、顎、首や胸元、といったところは、あたたかくて、やわら
 かいのではないか、と触れてみたいという衝動に駆られます。

 上述のとおり、色々な観点から、魅力満載なカメオでございます。